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「メッセージ(原題『ARRIVAL』)」見てきました [(ネタバレ注意) プレイ日記]

邦題は「メッセージ」と翻訳されてますが、原題「ARRIVAL(≒到着・来訪者)」の方がシックリ来そうな内容ですね。
コラボがちょっとした話題になった「ばかうけ」似の宇宙船が出てくる映画を見てきました。

本作はSFに属しますが娯楽性の高い「STAR WARS」シリーズや「ALIEN」シリーズとは対極に位置する作品で、有名どころですと「2001: a space odyssey(≒2001年宇宙の旅)」に近く、さらに申しますとRobert Zemeckis監督&Jodie Foster主演による「CONTACT」を彷彿とさせる哲学的な内容の物語でした。

具体的に申しますと突如世界中(日本界隈だと北海道と東シナ海あたり)に「ばかうけ」似(?←むしろ皿形)の宇宙船が来訪したところから物語が始まるのですが、本作の来訪者は「INDEPENDENCE DAY」のように敵意を見せることもなく無言のまま佇んでおり、突然の状況に対峙した人類は「CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND(≒未知との遭遇)」よろしく「何の目的で何処から来たのか」を尋ねるためにコミュニケーションを図ることとなります。
主人公のLouise(演;Amy Adams)は言語学者としてそのチームに招聘されるのですが、未知の生命体と如何にしてコミュニケーションをとるのか・どんな思考経路なのか・そもそもコミュニケーション手段があるのか探るところから着手することになります。その背後には未知の来訪者による侵略に怯える世界人類が控えている訳で、彼女の悠長な手順を待ち切れない人も多く含まれます。←要は「攻撃して撃墜しちゃえ」と考える人ですね。
私の個人的なイメージだとアメリカこそ真先に攻撃を仕掛けそうな気がするのですが、そこはそもそもアメリカ人向けの映画ですから、その役は人民解放軍の急進的な将軍(演;馬志←「24-TWENTY FOUR-」で Jack Bauerを拉致した中国エージェント役の人!)が担うことになります。



以下なるべく回避する所存でしたが不可避のネタバレを含みますので、未見の方はご注意ください。

本作に登場する来訪者は我々とは異なる時間軸に生きており、3,000年後に「起きた」ことを理由に現代に現れたことが終盤に判明するのですが、そのためか彼らと接するLouiseは物語序盤から未経験の「記憶」に苛まれるという、所見だけだとかなり難解な演出が随所に鏤められています。
そのためハッキリ申してしまいますと「SF」にエンターティンメントを期待している観客は肩透かしを喰らうような、派手な演出も解り易い結末も期待できない作品です。

じゃ金を払ってまで見る価値のない映画かと問われれば、決してそんなことありません(←通好みで一般受け←つか私が大好きな部類の作品ではないですけれど)

本作中では何気なく語られているために聞き逃しそうなセリフがあって、どこだったか私も失念してしまったのですが「戦争」を意味する言葉に「協議」の意味も内包する言語が在るのだそうです(←或いは「カンガルー」が現地語で「分からない」だったという逸話も例示&俗説として紹介されています)
オブザーバーとしての参加を要請しに来た軍に対し来訪者との直接対面を求めたLouiseが、条件を咽めず立ち去ろうとする軍人に半ば捨て台詞のように上記のことを発しているのですが、本作にとって「言語によっては異なる複数の意味がある」という事実に重要な鍵があることを示す重要なセリフでした。
「戦争」を殺し合いとしか受止められない国の指導者と「戦争」を互いの主張を折衝する行為と受止める指導者の対話に於いて、その訳者の伝え方次第でニュアンスが大きく異なって伝わってしまい得るのは理解できる話ですよね。
本作では来訪者の言葉が「weapon(≒武器)」と訳されたことで世界が疑心暗鬼に陥ることになるのですが、本作は、そもそも言語はおろか思考回路さえ異なる異文化交流に於いて「weapon」は相手を殺傷する道具とは限らず、もっと広義の「道具」と捉えることも出来るのではないかと観客に問いています。

上述した通り本作では「言葉」によって人類は混乱に陥り最悪の手段を採ろうするのですが、その誤解を解くのもまた「言葉」です(←1人の指導者を説得しただけで戦争を回避できた辺りはご都合主義であることを否定しませんがw)
昨今 極東東南アジア或いはヨーロッパでもキナ臭い報道が続いており、利己主義を掲げる指導者が実権を握ることでまるで戦争前夜の様相を呈してますが、自分の尺度だけに拘らず相手の真意に耳を傾け自分の真意を伝えることで理解し合えるのではないか←本作からはそんな「メッセージ」を感じられ、日本公開に際してタイトルを翻訳された理由はそこにあるのではないかと思えました。
「ARRIVAL」が本国アメリカで公開されたのはアメリカ至上主義を掲げたTrump氏が次期大統領就任を決めた一般投票直後の2016年11月11日で、この辺りにも制作者や興行主の意図を感じずに居られません。
「メッセージ」←原題よりもよく出来たタイトルです。
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