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NEOGEO Station [サービス]

6月末のアップデートでPSPのシステムバージョンが6.30になった際、クロスメディアバーの「ゲーム」→「メモリースティック」項目に表示されるタイトルをフォーマット毎に分類して表示できるようになりました。
そこにはPSPやPlayStation・PCエンジンと共に、まだ告知されていなかった「NEOGEO」と書かれたフォルダが表示されるようになっていました。
NEOGEOと云えば、CAPCOM製「ストリートファイターII」の爆発的ヒットによって始まった対戦格闘ゲームブームの全盛期に、「餓狼伝説」「龍虎の拳」「サムライスピリッツ」「キング・オブ・ファイターズ」などのシリーズタイトルを立て続けにヒットさせ、そのブームをおおいに盛り上げたSNK製16bitゲーム機の名称です。

記憶が曖昧なのですがNEOGEOがリリースされたのは確か1990年頃で、当初は所謂ゲームセンターなどの業務用筐体と家庭用レンタル機という特殊な流通体制を執られていました。
家庭用は任天堂製ファミリーコンピュータの覇権をスーパーファミコンが継承しようとしていた時期で、その頃の家庭用ゲームソフトの褒詞に「アーケード並」「ゲーセン並」というものがありました。
これは、専用の業務用筐体によるゲームセンターのタイトルを性能の劣る家庭用ゲーム機に移植されていた時代に於いて「最高」を意味する賛辞だったのですが、実際に文字通りそれを実現できているタイトルは極々僅かなものでした。
そんな時代に、NEOGEOは中身を同一の基盤とすることで家庭用と業務用の垣根を取り払い、「アーケード並」という褒詞を過去のものに追い遣れる存在としてリリースされたのです。
実質ソフトウエアの移植が必要ない訳ですから、ゲームセンターで流行っているタイトルを家庭で練習し&その成果をゲームセンターで披露することができた訳で、
ただでさえ劣化必至の上に半年~1年は移植を待つ必要があり&移植された頃には廃れている場合が多かったそれ以前の家庭用ゲーム機とは圧倒的な隔たりがありました。

では当時NEOGEOの登場によって実際に「アーケード並」「ゲーセン並」という褒詞が廃れていったのかと申しますと、それにはまだまだ時間を要しました。
なぜならNEOGEOは、当時の家庭用ゲーム機としては圧倒的に優れた性能を誇りながらも、購入しようとするととにかく(特にソフト代に→)金のかかるハードだったのです。

当時は先行するCD-ROM2システムに続いてメガCDが発売されようとしていた頃なのですが、ゲームソフトの流通はまだまだ圧倒的にマスクROMメディアが占めていました。
まだ倍速ドライブなど夢物語だったCD-ROMはデータの読込みをかなり待たされるものであり、顧客の回転率やメンテナンス性も重要な業務用との共用を鑑みるととても採用できるものではなく、とうぜん当時のNEOGEOはマスクROMメディアを採用していました。
現在主流となっている光学メディアはプレス成型で安価に賄えてしまいますが、マスクROMメディアは不揮発性メモリで構成された半導体基盤であるため、容量あたりのコストが段違いに高額です。
しかもNEOGEOは圧倒的な表現力を再現するために、要求するソフトの容量も巨大でした。
劣化移植を鑑みますと直接比較するのはナンセンスですが→当時様々なハードに移植された「餓狼伝説」を例に比較してみますと、スーパーファミコンやメガドライブに移植されたものが12Mbであったのに対しNEOGEO版は55Mbでした。
シツコイですがスーパーファミコン版やメガドライブ版は「完全移植」からは程遠い劣化版でしたので、直接の比較はナンセンスです。でも、同じタイトルを冠するソフトが片や1万円前後・片や2万5千円で販売されていたのです。
そう。NEOGEO用のソフトはロンチ期から1万円超えは当たり前、対戦格闘ゲーム全盛期に至っては3万円前後の高額な希望小売価格が設定されていました。
確かにスーパーファミコンの末期には1万円を超えるソフトも現れていましたが、それでもNEOGEOソフト1本で皆が持っているゲーム機とソフトをセットで買えてしまうほど高額であったことはご理解いただけるものと思います。
いくらバブル経済期だったとは云えそんなにソフト代の高額なゲーム機が普及する訳もなく、NEOGEOは高嶺の花のような存在となり一部のマニアだけのものとなりました。

そんなNEOGEOが本格的に普及を図ったのが、3DOを皮切りに始まった次世代32bitゲーム機戦争勃発の1994年でした。
その時点でNEOGEOのソフト代は3万円を裕に超えており、その対策としてCD-ROMメディアに対応したNEOGEO-CDを発売したのです。

これによってソフト代を6~7千円程度まで引下げることができたのですが時既に遅し。
登場当初は圧倒的な表現力を誇っていたNEOGEOでありましたが、当時アーケードではセガ製「バーチャファイター」が大ブーム、家庭用ハードもPlayStationセガサターンの登場によって、時代の潮流は2D→3Dへと移り変わり、NEOGEOの表現力は前時代的なものになっていました。
それでも熱烈な固定ファンを抱えていたNEOGEOですから、生き残れる可能性はありました。
…が、等速CD-ROMドライブによる読込みは分単位で待たされることになり、アクションゲーム主体のNEOGEOタイトルにとって致命的な欠点となりました。
この対策で2倍速ドライブを搭載したモデルも発売されたそうですが、既に家庭用ゲーム市場はPlayStationやセガサターンのものになっていました。(2D性能にも優れたセガサターンに移植されたNEOGEOタイトルの方が本家よりも評判が良いという、残念な状況もありました;)
また最も尊重すべきであった従来NEOGEOを所有していたユーザーに対してフォローがなかったことも問題でした。
従来機にオプション装着できる安価なCD-ROMドライブでも発売していれば多少は事態が違っていたのかも知れませんが、改めてNEOGEO-CDを買い足さない限り、NEOGEOユーザーは3万円以上もするソフトを買い続けねばなりませんでした。
そんな色々な失敗によりNEOGEO-CDは、元祖NEOGEOよりも前に市場から消えていったのでした。

…とここで終わってしまうと、NEOGEOは然した実績もないまま消えてしまったフォーマットのように受け取られてしまうかも知れませんが、決して侮ってはいけません。
家庭用よりも変動の激しい業務用も含めて、NEOGEOは1990年頃から2004年に生産終了を迎えるまでの十余年に渡り、現役の座に居座り続けた稀有なフォーマットなのです。
2004年の生産終了にしても、安価な業務用ゲーム機として発展途上国まで普及していた故に海賊版対策に困窮したことを理由としており、決して需要の低下を理由にしたものではありませんでした。
その証拠に、既にソフトウエア開発が終了してから何年も経過した現在に於いても、昔ながらの「ゲームセンター」に入りますと、現役で稼動している筐体を見掛けることがあります。
NEOGEOは、家庭用ゲーム機としては成功しなかったのかも知れませんが、家庭用ゲーム機の発想を業務用ゲーム機に取り入れたことで、永きに渡ってユーザーに愛され続けている「フォーマット」であると云えるのです。


さて例の如く前置きが長ぁくなりましたが、本題です。
PlayStationストアのアーカイブスに於いて来る12月22日より、「NEOGEO Station」為る新サービスが開始されます。
そうです。PlayStation3PSPで、往年のNEOGEOタイトルを楽しめる日が来たのです。
それも単なるエミュレートではありません。
PlayStation3ではインフラ経由のオンライン対戦が・PSPではアドホック通信による対戦を実現しているそうなのです。
ゲームセンターで筐体を挟んだライバルと熱い時を過ごしたアナタ!
高額なNEOGEOを、指を咥えて見送ることしか出来なかったアナタ!
ゲームは苦手でも徹夜してコスプレ衣装を縫っていたアナタも!
これからはいつでも手軽にNEOGEOタイトルを楽しめるようになるのです!!
タグ:ゲーム史
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