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オンライン流通#2 [サービス]

ずいぶん前に書込んで以来かなり経ってしまいましたが、「~#1」の続きです。
下書きに保存しながらシコシコと綴っていたのですが、内容が内容だけに批判的な方向に流れ易く、なかなかまとめられませんでした。

さて、今回はゲームのオンライン流通に於けるデメリット…と申すより、ゲーム流通のダークな部分について述べるのですが、予め申し上げておきますと私は、アルバイトも含めてゲーム業界に勤めたことは一切なく、その情報源は過去のニュースやネット記事などに限られますので、或いは一方的な思惑が絡んでいる可能性があります。
そのため、自分なりに咀嚼して整理したものを綴っていく所存ではありますが、事実を歪曲して伝えてしまう可能性がありますので、此度の記事はゲーム好きな素人が勝手に創作した虚構であると捉えていただいても結構です(←それほどまで、以下は責任の持てない内容を含んでいるのです)。


では本題です。
「~#1」ではダウンロード版のメリットばかり綴っておりましたが、当然(?)ながらデメリットもあります。
簡単に述べますと、
①ネット環境がないとゲームソフトを購入できない
②現時点では各メーカーの足並が揃っておらず、メディア版に較べて(かなり)タイトル量が劣っている
③アカウントと紐点けられているため転売・譲渡・貸借ができない
となります。
このなかで①はまぁ…時代が追い着くのを待つしかないと申しますか、ゲーム業界だけではどうにも出来ない問題なので割愛しますが、②③についてはゲーム業界のダークな部分が重い理由となっています。

何がダークなのかと申しますと、ゲーム業界には
④基本的に売切り前提で、返品はほぼ受付けられない
⑤卸値は希望小売価格の70~80%
⑥発注量をそのまま入荷できるとは限らない(≒「分納」と銘打った出荷規制が存在する)
⑦予約特典つきなどの限定版ソフトは、通常版などと抱合せで仕入れさせられる場合がある
⑧初回出荷分の受付は発売日の数ヶ月前に締め切られる
という、メーカーに近いほど有利で一方的な、暗黙のルールが存在するそうなのです。

PlayStationソフトの流通に音楽業界で培った直販方式を持込むことで、任天堂と親しい一次問屋を中心とした流通組織「初心会」による独善的な業界支配からの開放を実現したSCEIは、当初小売業界から諸手を挙げて迎え入れられたそうです。
ではSCEIは小売業界の救世主たり得たかと申しますとそうではなかったようで、新たな軋轢を生んでいます。
有名な話ですと、PlayStationおよびそのソフトを取扱える条件として、値引き販売の禁止・中古ソフト取扱いの禁止・ソフトやハードの卸売販売(≒他の小売業者や問屋への転売)の禁止を提示し、それに了解した業者にのみに取引を許可したのだそうです。
当然これは公正取引委員会の知ることなり、独占禁止法の「不公正な取引方法の禁止」に違反しているとして排除勧告を受け、ニュースでも報じられました。
SCEIはそれを受けて表向きは条件を撤廃したのですが、粗利幅を圧迫(⑤)することで値引きや転売を困難にして・中古ソフトを取扱う業者には注文量通りのソフトを卸さない(⑥)ことで、実質上は条件を堅持していると噂されています。
固定ファンの多い人気キャラクターの権利を数多持つバンダイナムコグループ傘下のバンダイナムコゲームズ(の特にバンダイブランド)は、非売特典付きの初回数量限定版を餌に予約件数を稼ぎ、その「数量限定」を理由に通常版を抱合せで卸している(⑦)なんて噂もあります。
もちろん上述しただけではなく、他にもアコギな商売をしていると云われているメーカーはいるのですが、この2社は個人的に、共に好意的に見ていたメーカーだけに、残念な話です。

ゲーム販売店などで、売残りのワゴンセールをご覧になったことはありませんか?
覗いてみるとまぁ、大々的に広告されていた割に評判の揮わなかったタイトルを大量に見つけることが出来るはずです。
これこそ返品拒否(④)・抱合せ卸(⑦)の結果に他ならず、これだけ情報化が進み発売日前にフラゲユーザー発信のレビューがネットを駆け巡るようになった昨今では、よくある光景になってきています。

そして、そうして収益機会を絞られている小売店にとって、中古流通は有益な財源となっているようです。
中古流通はもともとファミコンブームの頃に、リピートの遅いマスクROMメディアだったためになかなか再入荷されず買い時を逃すとなかなか入手できない「需要」と・既にクリアしてしまってor幾度もプレイして飽きてしまって要らなくなった「供給」を結び付けるために生まれた商売でした。
この商売は、遊び終えたソフトを処分して次のソフトの購入するための資金源として・多少古くても安くソフトを購入できる手段として、ゲーム好きな子供たちの強い味方でした。
そして小売店にとっても、仕入値と売値を自分でコントロールできたことから、運用資金を得るのに絶好の商売でもありました。
ただこの中古流通は、そのプレイ人口に見合った利益がメーカーに還元されず、小売店以外のゲーム業界に殆ど利益をもたらさない反面も持っていました。
そのためメーカーは、ゲーム開発をするための資金が不当に搾取されているとして、中古流通の撲滅を謳ったキャンペーンを展開するようになっていったのです。
そして小売店側もメーカー側に有利すぎる商流に対する不満を爆発させ、そしてあの中古ゲーム訴訟が起こったのです。
そう。中古訴訟の背後で、ゲームメーカーとゲーム小売は驚くほど険悪な関係になっていってしまったのです。

そして中古ゲーム訴訟には嫌な余談があります。
この訴訟は表向きは小売側が勝訴したことになっていますが、現在に至って顧た結論を申し上げると、実は誰も得るもののない判決でした。
その内容は「ゲームソフトの頒布権は、1次頒布の段階で消尽する」→「ゲームの中古流通は合法」と云うもので、一見すると至極尤もに聞こえるのですが、
実際には、当初 著作権法を策定された段階で存在しなかったゲームソフトに対する認識があった筈がなく、また(失礼ながら→)裁定者のゲームおよびその業界に対する知見不足が招いた結果と申さざるを得ません。
なぜなら、「ゲームの中古流通は合法」の判決で最も痛いめに遭ったのが、誰あろう勝訴したはずの小売業者だったからです。
「合法であるなら」と、それまではゲーム流通に注力していなかった大資本が独自ネットワークを活かして(例えばビデオレンタルのついでに売買できるような→)ゲームソフトの中古流通にまで手を出してきたのです。
そうするとそれまでゲームを専門に取り扱っていた中小の小売業者は、(例えばスーパーマーケットやデパートが出来て近所の商店街が廃れていくように→)顧客を奪われていってしまったのです。
またメーカー側も俗に云う「ベスト版」で、発売後一定期間を経たゲームソフトの希望小売価格を大幅に値下げすることで中古流通の相場を混乱に追い込むようになりました。
そうして、顧客を失い&中古流通でさえ逆ザヤのリスクを負わされるようになってしまったために、資本力の劣る中小の小売業者は次々と廃業に追い込まれていってしまったのです(←思い返してみてください。10~20年前まではよく見掛けたあなたの近所の「ゲーム屋さん」は現在でも商売を続けておられますか?)。
メーカー側にしても、中古流通を認められた上に「暫く待てば安くなる」という認識がユーザー間に蔓延してしまったために、本来得られたはずの収益を得られず、長年ライバル関係にあった同士が吸収合併したり事業撤退に追い込まれていったりしています。

判決が出る前に両者がもっと歩み寄ることができていれば、具体的に申し上げますと、その訴訟で両者が相手の主張を真摯に受け止めることで、一方的過ぎる暗黙のルール(④~⑧)を少しでも改善することができていれば、こんな事態は招かずに済んでいたかも知れません。


さて、ここで話をオンライン流通に戻します。

ダウンロードソフトとは、いわばネット上に存在する架空の店舗でデータのみを販売されているソフトです。
そしてネット上にある架空の店舗はメーカー直営の、言ってしまえば既存のゲーム流通が介在しない店舗です。
既報の通りダウンロードソフトは転売できない(③)ことから、既存のゲーム流通を根底から覆してしまう、メーカー主導の流通であると云えます。
では、メーカーにとってメリットだらけであるはずのダウンロード流通であるにも拘らず、なぜ参入を躊躇するメーカー(②)が現れるのでしょう。

中古流通の撲滅(③)を果たせるとしても参入を躊躇させる理由←これには、もしかしたら返品拒否(④)が大きく関わっているのではないでしょうか。
メーカーからすれば、ゲームソフトの制作に要した費用だけは是が非でも回収したい。だからこそ、その収益機会を奪う中古流通は「悪である」と叫んできました。
でも中古流出がないとは云え、ダウンロードソフトによって得る収益は、そのまま販売量による結果であり出荷量ではありません。
熱烈な固定ファンが大半を占めていて確実にその捌ける量が読めているのなら、例えばコレクターアイテム的なソフトであったとすれば、その内容が例え「クソゲー」であったとしても(客の目当てはキャラクターやオマケなのですから)中古流出による損害は抑えられそうです。
でもゲームソフト全般に於いて斯様なソフトは限られており、殆どのゲームソフトにとって重要なのはその内容・出来栄えで、それこそが評価対象となって、販売量が左右されます。
そう。マスコミ情報を操作したり初回限定特典を設けて購買欲を煽ろうにも、ダウンロード版には既存流通ほどの効果を期待できず、むしろ流通業者に売り逃げする手法(④)を執れないことが、参入を躊躇させているのではないでしょうか。

もちろんそれだけではありません。
上述した論法でいくと中古流出の少なそうなコレクターアイテム的なタイトルでも、積極的にダウンロード流通されているものも存在しているからです。

ではダウンロード化に消極的なメーカーが存在する別の理由は何なのか。
…自分で申し上げておいて矛盾しておりますが、最近 私の持つ印象としては、消極的なのではなく非協力的なのではないかと思っています(←「消極的」と「非協力的」は、よく似た言葉ですが意味が違います)。
ダウンロードソフトのなかで最近特に目に付くのが、当初は物理メディアのみで発売しておいて、一定期間を経たところでダウンロード版を発売されるタイトルです。
通信プレイの一般化により延命化を果たしているとは云え、ゲームタイトルが最も売れるのは発売後2週間前後と云われています。←これを過ぎた途端に需要はガクンと落ちるそうで、ベスト版などによるその後の価格改定は焼け石に水を浴びせる程度しか効果がないタイトルが大半を占めているのだとか。
つまり、殆どのゲームファンは新作発売と同時期に購入してしまうのが常であり、それ以降に購入するユーザーはベスト版のリリースを待たず中古品を購入している図式が成り立ちます。
要するにダウンロード版を後追い発売する手法は、正規ルートの在庫がほぼ捌けて、流通の主流が中古品に移行した頃を見計らって投入しているようなのです(←以前ならこのタイミングで廉価版が投入されていましたが、そこにダウンロード化の選択肢が増えた印象です)。
内容はそのまま(←或いは若干の追加要素)で中古より安価なベスト版を投入すれば、とうぜん中古取扱業者は身銭を切って価格を下げねばならなくなりますし、それは、中古市場に打撃を与える上で非常に解り易い手法だったのですが、その前後にダウンロード版を挟むことで、いったいどんな効果があるのでしょう?

その疑問で気付いたことがあります。
上述した通り、ダウンロード版を購入するためにはネット環境が必須(①)で、以前の実験でも証明された通り、ダウンロード版を購入できるユーザーは、自宅でゲーム機を積極的にネット接続しているユーザーに限られてしまいます。
それだけ熱心なユーザーなら、当然(?)ながら発売直後にソフトを購入してしまっている場合が多いでしょう。
つまり、ソフト流通のオンライン化に積極的なメーカーにとって、タイミングをズラしてダウンロード版をリリースするのは矛盾した商法だと云えるのです。
逆にそんな販売法を執っているメーカーはオンライン化に消極的であると考えたくなりますが、そこに、ユーザーにとっては腹立たしくも小狡い策が隠れている気がします。
例えば昨今PSPソフトで流行っている協同プレイをするためには、殆どのタイトルがユーザー1人につきソフト1本を必要としますが、PlayStationストアで販売されているダウンロード版ソフトは、1本の購入で上限5台までのPSPで起動することができてしまいます。
つまりゲームソフト流通をオンライン化させることで中古流通を阻止できたとしても下手すると販売量が最悪1/5になってしまうリスクを伴う訳で、それを回避する目的で物理メディア版を先行発売して販売量を確保しているのではないかと…(←例え内容が伴わなくとも、メディアを煽って初期出荷さえしてしまえば利益を確保(④)できるのですし)。
そして、ゲーム機をネット接続するほど熱心なユーザーなら(&長期プレイを期待できるタイトルなら)、物理メディアを持っていても更に(使い勝手の良い→)ダウンロード版を追加購入すると考えられているのではないでしょうか。
例えるならば(特にアニメなどの)映像ソフトが、予約特典で煽ったり・やれ限定版だ高画質版だ完全版だ豪華梱包だと、手を代え品を代えて同一コンテンツを販売してファンから金を巻き上げていますが、ゲームも同様に捉えられているのではないでしょうか。
それに例えダウンロード版がぜんぜん売れなかったとしても、もともとデータをサーバに置くだけで済むのですから、下手に物理メディアの価格を落として在庫を抱えるのと較べると、そのリスクによって被る損害は圧倒的に軽微であると云えます。
リスクを最小に抑え第三者的に醒めた視点で動向を見定めることが出来るのですから、メーカーにとってこの商法はかなり好都合ですよね。
実際のところ、私はUMD版を徹底的に楽しんでいるにも拘らずダウンロード版「モンスターハンター・ポータブル2ndG」も購入してしまっていますし、他の攻略済みソフトでも心を動かされているものが何本かあります。
当初は物理メディア版とダウンロード版ではプログラムが異なるためにリリース時期がズレるのではないか←と好意的に受止めようともしましたが、
非公式な処置を施したPSPでは、物理メディアから吸い出したISOデータでゲームソフトを起動できている(←法的にグレーですしメーカー保証を受けられなくなりますので、ぜったいに真似しないでください!!)ことを鑑みますと、そんなに何ヶ月も追加開発期間が必要であるとは到底思えません。

じゃあソコまでしてソフトメーカーが利益確保を追求する理由は何なのかと考えた際に、(我々の面前にはまだ晒されていないことではありますが→)プラットフォームホルダーがサードパーティに課しているロイヤリティも従来メディア版とダウンロー版でどの程度の隔たりがあるのかが疑問になってきました。←もしかしたら返品拒否の権限(④)を損ねてまで実益を得られないほど、ロイヤリティが高額過ぎる可能性も拭えないのです。
そして、より高額な開発費を要するソフトを求めてしまった我々ユーザーにも責任の一端はあるのです。
夢を売る商売とは云え彼らはそれで収益を得て生活している訳ですから、キレイごとだけで済まされないことは理解せねばなりません。
或いは、従来式の販売方法に自社のグループ企業を利用しているので切るに切れない事情がある可能性や、インフラ整備の遅れている地域での販路を鑑みると物理メディアによる流通を撤廃できず、それ故に物理メディアを扱ってきた業者を切れず、データ販売に移行できない事情も考えられます。

ただ云えることは、自身の利益に拘り過ぎずもっと広い視野で改善法を考えることで業界を盛り立てることが叶えば、結果としてそれが産業の発展に繋がるということです。
下手に自身の利益だけ追求し合ってしまうと、「ダウンロードゲーム?そんなサービスあったねぇ」あるいは「昔はTVに機械を繫げて遊んでいたらしい」などと懐かしまれることにもなりかねません。
この問題は、ゲームを嗜好する我々ユーザーも一緒に考えていかねばならない、大きな問題であると申せます。
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