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「DEVILMAN: crybaby」#1 [(ネタバレ注意) プレイ日記]

2018年初の寄稿です。今さらですが、明けましておめでとうございます。←バタバタしてる間に越年から幾日も経てしまいました;

さて新年1発目の話題は、日本時間の1月5日17時にNETFLIXで全10話が一挙公開された「DEVILMAN: crybaby」です。←敢えて「日本時間」と添えたのには理由があって、NETFLIX限定ではあるものの「DEVILMAN: crybaby」は世界同時公開だったのだそうです。
日本製のアニメやコミックが世界中で楽しまれていることや、また映像化を求められる作品として永井版「デビルマン」がしばしば挙げられていたことも識ってる所存ですが、それにしてもこの扱いの難しい作品を世界同時公開するとは思い切りましたね。

(C)2017-2018 NETFLIX SARU

永井版「デビルマン」の映像化は今回初という訳ではありませんが、出来の好かったOVA版は最も興味深い展開を迎える手前で頓挫・最後まで描かれた劇場版はその直後に他界された那須博之監督のキャリアに致命的な汚点を残しており、立場によって変わる善と悪や人間の性<さが>に抉り込んだ難しいテーマであること・既にコミックの段階で完成の域に達していることと併せて、映像作家にとって「鬼門」とも称せる作品が永井版「デビルマン」でした。
私はあらゆるストーリーコンテンツの中で永井版「デビルマン」は3本の指に←否、おそらく1番に好きな作品なのですが、仮に私が映像作家だとしたら1番手出ししたくない原作も永井版「デビルマン」です。牧村家を襲う悲劇も然りながら特に終盤の最終戦争に至っては、私如きの想像力では映像になりません。

その観点から申しますと、今回 永井版「デビルマン」の映像化に挑んだ関係各位の大英断には頭が下がる思いですし、さらに申しますと見事に映像化してみせてくれた制作者各位にスタンディングオベーションを贈りたいと思います。
連載当時から数えると45年も経ってますからあのまま映像化してしまうと時代錯誤な描写を散見する内容になってしまうことは自明であり、だからと申して迂闊に現代風アレンジを施すと原作ファンから「違う」評価を浴びる虞もあったはずで、永井伯から一任されていたとは申せ制作者も腐心されたのではないでしょうか。
本作を指揮された湯浅政明監督は私とほぼ同世代で、インタビュー記事を拝見する限り幼少期にTVアニメ版を見たのも高校生の頃 永井版に衝撃を受けたのもほぼ同じタイミングであり、或いは同じ年代に同様の体験をした者同士だからこそ得られる共感を本作から感じ取れたからかも知れませんが、少なくともココにいる原作ファン(=私)にとって「DEVILMAN: crybaby」は充分に納得できる映像化でした。


さて以下 内容に触れますが、文脈上 避けられないネタバレを含みます。平素ならなるべく回避するように心懸けている所存なのですが、そもそも永井版「デビルマン」は既に全世界5千万部超えの金字塔的作品であり、またその完全映像化を謳った本作に興味を示す方であれば永井版「デビルマン」の内容を識っていて当然←の体で述べさせていただきますので、仮にTVアニメ版をご存知だとしても永井版「デビルマン」を未体験の方が居られるとしたら、ココから先は読み進めないことをオススメしておきます。

まず本作には劇中劇としてコミカライズされた「デビルマン」が存在します。これは恐らく「デビルマンレディー」読者に向けたオマージュで、本作に描かれている世界は永井版「デビルマン」の物語で最後に浄化された後に復活した新世界(←メインとなる舞台は某新地の要素を加えた川崎?)であることが判ります。←つまり完全映像化を謳いながらも「原作と違う!」指摘を回避されている訳ですね。
そう言えばあの劇場版も含め、幾つかのオマージュを散見しました。

主人公 不動明が居候している牧村家ですが、ヒロイン美樹の弟であるタレちゃんは「太郎」と改名され、本作に於いてかなり重要なキーパーソンに格上げされてました。私の記憶にはいなかったはずですが、ペットに黒猫を飼ってます。
美樹や太郎の父親は世界同時公開を意識されたためか白人男性(←なのに牧村?)に変更されてました。従って美樹や太郎はハーフというコトになり、周囲と眼の色が異なることで幼少期にイジメられている美樹を無抵抗主義の明が庇うエピソードが追加されてます。
原作の美樹も学園では風紀委員「平手の美樹」として有名でしたが、本作の美樹は高校陸上界のスターに更新されており、また雑誌記者と男女関係にあると思しき描写が加えられてました。グラビア誌でも紹介される陸上界のスターでありながら飾り気のない性格の美樹はSNSでも相当なフォロワーを抱えているようで、美樹のSNS発信も重要な要素になってます。
原作では中盤の悪魔狩りが始まった辺りから登場したミーコは美樹と同じ陸上部の選手として第1話から登場するのですが、同じ名前でありながら境遇の異なる美樹にコンプレックスを抱いている設定にされていました。なおその容貌は原作版ミーコとは完全に別人で、研究施設に囚われていたなかに原作版ミーコとソックリなデビルマンも登場しますw
そうそう、明の両親は死んでおらずMSFに所属していて、母親同士が大親友であることから、牧村家が明を預かっていることになってました。
もう一方の主人公である飛鳥了は髪型以外もかなり改変されていて、明と幼馴染ではあるものの本人が大学教授とされており、父親ではなくフィールドワークの通訳を依頼されたロシア人学者から「恐怖の遺産」を授かることになってます。
彼には無表情な女性の秘書が付き添っているのですが、その彼女は原作ファンならすぐに誰だか判る名前&顔をしていますw
原作でも意外と活躍した自称プロレス野球部のアウトロー達はラッパーに更新されており、明の舎弟にはなりません。
巨躯を誇った悪魔王ゼノンは普通サイズのリーダーに格下げされてしまったようで、またシレーヌやカイム共々デーモン族の多くは人間と合体済みのようで、社会に潜伏している設定になっていました(←特にジンメンが人格を乗取った相手と第7話でカミングアウトするデビルマンは衝撃です!)

本作の第1話はOVA版の第1巻とほぼ同じ内容(←明がアモンと合体するまで)を描かれているのですが、1時間近くかけて丁寧に描かれていたOVA版と比べると新しい設定を加色しながら30分に収められた本作は、駆け足な印象を覚えてしまいました。
…が、残るエピソード全てを見てから改めて第1話を見返してみるとスピーディーな展開の本作も充分「あり」で、むしろ好ましく思えてしまうのですから私も調子良いですねw
原作と較べるとギャグ要素が薄れエログロ描写を色濃くされてるように見受けられるのは配信向けだから?原作にあったエピソードが削られたり加えられたりその設定や順序・描写が変えられていたりもしますが、実際に見るまで不安でしかなかったクライマックスも含めて原作の雰囲気が活きており、或いは特定の場面・展開に限れば原作を超えているのでは?と思える節さえあります。
例の如く詳細は敢えて伏せますが、内容を更新されていることで既知の確認に終始せずに済む点も含めて満足できる出来栄えでした。
「デビルマン」の根幹を成す重要なテーマをサタンではなく了の心情に重きをおいて解説されていたのは…どぅなんでしょう?原作もこの辺りは曖昧でしたが、せっかく永井伯の了解を得ているのですから原作の呪縛を越えてもう少し掘り下げてみても好かったかな?と思わなくもありません。
逆に蛇足になってしまう可能性を鑑みると止めといた方が好さそうな気もします。←まぁ物語を通してみれば解ることですし、明確な回答を示さず読者に一任したからこそ永井版「デビルマン」は名作たり得たのですから、本作もこうやって視聴者に考えさせ或いは幾度も見返させるのが正解なのかも知れませんね。


NETFLIXオリジナルとのことですがいつまで配信してくれるのか判りませんし、ぜひソフト化して欲しいですね。そしたら絶対に私のコレクションに加えます。

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